東京五輪記念100円銀貨の鑑定方法|自分で判断する前に知っておきたい注意点

遺品整理や実家の片付けで、「TOKYO 1964」の文字が入った100円銀貨を見つけた方も多いのではないでしょうか。
1964年の東京オリンピックを記念して発行された貨幣ですので、「もしかしたらお宝かもしれない」と期待する気持ちはよく分かります。
ただし、鑑定は図柄が似ているかどうかだけでは判断できません。
黒ずみを取ろうと磨いてしまうと、かえって状態を損ねることもあります。
まずは触る前に、確認すべきポイントを知っておきましょう。
また、東京五輪100円銀貨らしいと分かった段階でも、そこで鑑定が終わるわけではありません。古銭を見るときは、種類の特定と、その個体の状態を確認する作業を分けて考える必要があります。
同じ種類に見える硬貨でも、摩耗の進み方、傷の入り方、変色の程度、長年どのような環境で保管されてきたかによって、見え方は一枚ずつ異なります。
遺品として見つかった場合は、硬貨だけを取り出して確認するのではなく、一緒に残されていたケースや袋、台紙、メモなども捨てずに保管しておきましょう。後から由来を確認するときの手がかりになることがあります。
東京五輪100円銀貨、まずはどこを見ればいい?
「本物かどうか」を確かめたいとき、多くの方は表面の図柄だけを見て判断しようとします。
しかし、それだけでは十分な確認とはいえません。
表裏の図柄、「日本国」「百円」「TOKYO 1964」「100」「昭和39年」の文字や数字と配置まで、一箇所ずつ丁寧に見ていく必要があります。
図柄が全体的に似ていても、文字の太さや配置が微妙に異なる場合があるからです。
摩耗していて図柄が薄い場合も、残っている部分から手がかりを探すことができます。
確認するときは、最初から一部分だけを拡大するのではなく、まず表面と裏面の全体像を見比べてください。そのうえで、「TOKYO 1964」や「100」、「昭和39年」といった特徴的な部分を順番に拡大していくと、全体との位置関係を確認しやすくなります。
スマートフォンで撮影する場合も、表裏を真上から撮った写真に加え、文字や図柄のアップを残しておくと便利です。写真を撮るために表面を拭く必要はありません。汚れや変色があっても、そのまま撮影してください。
鑑定士の目🔍
実は、文字の配置だけを見て安心してしまう方が多いのですが、確認したいのはそこだけではありません。文字や図柄の輪郭の立ち方、周囲の地肌との境目の状態なども判断材料になります。同じ種類の硬貨でも、打刻の状態や摩耗、傷、表面の変化によって、この境目の見え方は異なることがあります。
縁・側面・保存状態も忘れずに確認しましょう
正面からの写真だけで満足してしまう方は少なくありません。
ですが、縁や側面には正面からでは分からない情報が残っています。
硬貨を立てたり、斜めに傾けたりしながら、不自然な削れや加工の跡がないかを確認しましょう。
また、重さや大きさを測る場合も、家庭用の計測器には誤差が出ることを覚えておく必要があります。
数値が近いからといって本物と決めつけたり、少し違うからといって偽物と判断したりするのは避けたほうがよいでしょう。
側面を確認するときも、工具で挟んだり、傷のように見える部分を爪でこすったりする必要はありません。硬貨の縁を軽く持ち、光の方向を変えながら観察するだけでも、正面からは見えにくかった凹凸を確認できることがあります。
さらに、傷に見えるものがすべて後から付いた傷とは限りません。反対に、古そうに見える凹凸だからといって、そのまま製造時の特徴だと判断することもできません。こうした違いは、複数の箇所を見比べながら判断する必要があります。
鑑定士の目🔍
縁の部分は、光の当て方によって細かな凹凸や傷の見え方が変わります。正面からの光だけでは確認しにくい場合があるため、斜め方向からも光を当てて観察するとよいでしょう。ただし、削れや傷が製造時のものか、その後に生じたものかを写真だけで断定するのは難しい場合があります。
磨く前に、まず「そのまま」の状態を守りましょう
黒ずみや変色を見ると、「きれいにすれば価値が上がるのでは」と考える方もいるかもしれません。
しかし、古銭の世界では「きれい」と「状態が良い」は必ずしも同じ意味ではありません。
磨いたり、洗剤や薬品で洗浄したりすると、元の表面状態が変わってしまいます。
細かな傷が新たに増えてしまうこともあるでしょう。
汚れを落とす前の状態そのものが、実は鑑定における大切な材料になります。
特に避けたいのは、金属磨き、研磨剤、洗剤、薬品、超音波洗浄などを使って自己流で表面をきれいにしようとすることです。付着物が気になる場合も、削ったり剥がしたりせず、そのままの状態を保ってください。
保管するときは、硬貨同士を裸のまま重ねて擦れさせないことも重要です。元のケースやコインホルダーに入っている場合は、無理に取り出さず、その状態で保管したほうが安全なこともあります。
また、テープを直接貼ったり、輪ゴムでまとめたりする方法も避けましょう。長期間接触する素材によっては、硬貨表面の変色や劣化につながる可能性があります。
鑑定士の目🔍
良かれと思って研磨された硬貨でも、表面に細かな線状の傷や不自然な光沢が生じることがあります。専門的なグレーディングでも、研磨や強いクリーニングによる表面の変化は状態評価の対象となります。せっかくの状態を自ら変えてしまう前に、まずはそのままの姿を保っておくことが大切です。
自分で判断して損をする前に、まずは電話でご相談ください
ここまで確認ポイントをお伝えしましたが、写真や文章だけで真贋や価値を断定するのは、実のところ簡単ではありません。
「1枚しかないのに相談していいのだろうか」「電話したら売却を迫られるのでは」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
ですが、ご相談いただいたからといって、必ず売却しなければならないわけではありません。
まずは「何の硬貨なのか」「今の状態のままでよいのか」を確認するだけでも構わないのです。
父や祖父が大切に残していたものを、価値が分からないまま自己判断で磨いたり処分したりしてしまうと、元の状態には戻せない場合があります。
判断に迷ったときこそ、専門家に一度見てもらう価値があります。
電話相談の前に準備できる場合は、表面全体、裏面全体、「日本国」「百円」周辺、「TOKYO 1964」「100」「昭和39年」周辺、縁・側面、ケースや台紙などの付属品をそれぞれ撮影しておくと、状態を整理しやすくなります。
複数枚まとめて見つかった場合は、一枚ずつ分ける前に、発見したときの全体の状態も写真に残しておくとよいでしょう。古いアルバムやケースに入っている場合も、無理に外さず、そのまま確認することが大切です。
自分で調べることは種類を絞り込むための有効な第一歩ですが、「見本画像と似ている」「重さが近い」といった一つの要素だけで最終判断をする必要はありません。判断できない部分が残ったときこそ、専門家に確認する意味があります。
お手元の硬貨は、そのままの状態で構いません。
磨いたり洗ったりする前に、ぜひ一度お電話でご相談ください。






































