竜2銭銅貨と他銅貨の違いを比較解説|1銭・5銭との見分け方と鑑定ポイント

遺品整理や実家の蔵の整理をしていると、竜図の入った古い銅貨が何枚も見つかったという方は少なくありません。
一見よく似た古銭でも、「竜2銭銅貨」と「竜1銭銅貨」、明治期の「竜5銭銀貨」では、額面だけでなく材質、大きさ、意匠、発行時期が異なります。
インターネット上には似た写真が数多く掲載されていますが、撮影角度や摩耗の度合いによって印象が変わるため、写真だけで種類を断定するのは簡単ではありません。
今回は30年以上古銭鑑定に携わってきた立場から、今回は竜2銭銅貨を、同系統の意匠を持つ竜1銭銅貨や、額面が近く混同されることのある竜5銭銀貨と比較し、それぞれの違いを整理します。
竜2銭銅貨と1銭・5銭貨を見分ける鑑定ポイント
竜2銭銅貨と竜1銭銅貨は、どちらも銅を主体とし、よく似た龍図を持つため混同されやすい貨幣です。一方、竜5銭銀貨は名前に「竜」が付いていても銅貨ではなく、銀を主体とする小型の貨幣です。したがって、比較するときは、色だけで判断せず、まず額面文字と英文表示、次に硬貨全体の大きさ、龍図の配置を確認します。
竜1銭銅貨は龍面の下部に「1 SEN」、竜2銭銅貨は「2 SEN」と刻まれています。両者は同系統の意匠ですが、2銭の方が明らかに大型です。公的な資料でも竜1銭銅貨は明治期の補助銅貨として紹介され、龍が右向きで口を閉じた「吽竜」であることが説明されています。
竜5銭銀貨は「五銭」の額面と銀色の地肌が基本的な識別点ですが、変色や汚れによって色だけでは判断できない場合があります。また、「旭日竜5銭銀貨」と後の「竜5銭銀貨」は別の型式であるため、年号と表裏の意匠を確認しなければなりません。竜5銭銀貨については、明治6年を初年とし、複数の年銘が知られています。
竜2銭銅貨とはどのような古銭か
竜2銭銅貨は、明治4年に始まった円・銭・厘による近代貨幣制度を整備していく過程で、新たに加えられた銅製の補助貨幣です。
江戸期以来の多様な貨幣が残るなか、円・銭・厘に基づく統一的な貨幣制度を普及させ、日常の少額決済を支える目的で発行されました。
商取引の現場で日々使われていたことから、当時の経済発展を陰で支えていた存在だといえるでしょう。
こうした成り立ちを知っておくと、1銭銅貨や5銭貨との違いも自然と見えやすくなります。
竜2銭銅貨の大きな特徴は、表面中央に配置された迫力ある龍の図柄です。
龍の顔、角、髭、爪、胴体の鱗が細かく表現され、龍の胴体に囲まれるように中央付近へ珠が配置されています。
年号は龍図面の外周に沿って「明治〇年」と刻まれており、下部には英文で「2 SEN」と表示されています。
硬貨の面の縁には歯状の縁取りが見られますが、側面そのものの形状とは区別して観察する必要があります。側面に不自然な溝や継ぎ目がある場合は、レプリカや加工品も疑います。
こうした要素はどれか一つだけで判断材料になるわけではなく、複数の特徴を組み合わせて総合的に確認する必要があるのです。
鑑定士の目🔍
私が実際の鑑定で必ず確認するのは、鑑定では、龍の爪や鱗、中央の珠、珠点の輪郭がどのように打ち出されているかを確認します。ただし、摩耗や打刻の強弱でも見え方が変わるため、一部分だけで真贋を断定することはできません。年銘や極印の違いによって、鱗や文字などに細かな意匠差が確認される場合があります。ただし、既知の手変わりと摩耗、打刻不良を区別して判断する必要があります。
竜2銭銅貨が発行されていた当時は、近代化を急ぐ日本にとって信頼できる貨幣制度そのものが国家の基盤でした。
海外との取引が増えるなかで、統一された規格の硬貨を国内に行き渡らせることは急務だったのです。
そうした背景から、竜2銭銅貨には当時の最新技術による打刻が施され、精緻な龍の意匠が採用されました。
同じ竜図を採用した貨幣でも、額面、材質、硬貨の大きさ、製造時期が異なるため、龍図や文字配置、周辺意匠にはそれぞれ違いが見られます。
摩耗の程度は発行枚数だけで決まるものではなく、流通期間、使用頻度、回収状況、保管環境などによって大きく異なります。
逆に流通量が少なかった額面や、短期間しか発行されなかった年号のものは、見つかること自体が珍しいケースもあるでしょう。
こうした発行事情を知っておくと、単に「古い硬貨だから価値がある」という考え方ではなく、額面や年号、状態を踏まえた総合的な価値判断ができるようになります。
竜1銭銅貨・竜5銭貨との比較ポイント
竜2銭銅貨とよく混同されやすいのが、竜1銭銅貨と竜5銭貨です。
額面が異なるだけでなく、全体のサイズ感や龍図の迫力、文字の配置、外周デザインにもそれぞれ違いがあります。
図鑑のように一つひとつ比較していくことで、初心者の方でも判別しやすくなるはずです。
まずサイズですが、竜1銭銅貨は竜2銭銅貨より小型で、同系統の龍図がより狭い面積に収められています。まず硬貨全体の大きさと英文額面の「1 SEN」「2 SEN」を比較すると判別しやすくなります。
竜5銭銀貨は銅を主体とする竜1銭・竜2銭とは異なり、銀を主体とする小型の貨幣です。色調だけでなく、額面表示と全体の意匠を確認してください。
額面を示す「二」「銭」といった文字の書体や、年号「明治」の文字の位置も見比べるべきポイントになります。
龍の顔つきに注目すると、目や鼻、角、髭、尾の流れ方にも銅貨ごとの個性が表れており、慣れてくると輪郭だけでもある程度見分けがつくようになるでしょう。
面の縁にある歯状の装飾と、硬貨の側面は分けて観察します。種類の判別では、側面の不自然な溝、鋳造時の継ぎ目、削り跡、変形の有無を確認してください。
摩耗が進んでいる場合でも、龍の輪郭や菊紋の残り方、外周のリム部分の形状から種類を絞り込めることが多いです。
額面ごとに発行の目的も異なり、1銭・2銭・5銭は異なる額面として日常の支払いに用いられました。ただし、実際の使われ方は時期や地域、物価によって異なるため、特定の額面だけを「流通の中心」と断定するのは適切ではありません。
文字の彫り方にも注目してみてください。
額面を示す漢数字や「銭」の文字は、線の太さや止め・はねの形が額面ごとにわずかに異なり、書体そのものに時代の個性が表れています。
年号部分の「明治」の文字も、年銘によって既知の書体差や意匠差が見られる場合がありますが、線の深さは打刻の強弱や摩耗でも変わるため、製造年を推測する決め手にはなりません。
こうした細部の違いは、拡大鏡を使い、柔らかい光を斜めから当てて観察すると、文字の輪郭、打刻の高低差、傷、地肌の状態を確認しやすくなります。
鑑定士の目🔍
一般の方が見落としがちなのが、一般の方が見落としやすいのは、面の縁にある歯状装飾と側面との違いです。縁の潰れ方だけでなく、側面の継ぎ目、削り跡、不自然な溝の有無を確認します。
ただし、比較表だけを頼りに一つの特徴だけで判断してしまうのは危険です。
同じ竜2銭銅貨であっても、打刻圧や保存状態、いわゆる「手変わり」と呼ばれる細かな製造差によって、見た目の印象が大きく変わることがあります。
また写真の場合、光の当たり方や撮影角度、ピントの精度によって、同じ硬貨でもまったく違う印象に写ってしまうことも珍しくありません。
そのため私たち鑑定士は、龍図・書体・外周・エッジ・地肌・摩耗の状態など、複数の要素を組み合わせながら総合的に種類を判断しています。
一か所だけを見て「これは竜1銭だ」「これは竜5銭だ」と決めつけず、いくつかのポイントを照らし合わせる姿勢が、初心者の方にも大切だといえるでしょう。
真贋判定と保管時の注意点
比較記事を読むことで、ある程度の判別はできるようになります。
しかし実際にはレプリカや加工品が市場に流通しているのも事実であり、写真だけで断定するのは危険です。
真贋を見極めるための基本知識と、価値を下げないための保管方法も、あわせて押さえておく必要があるでしょう。
真贋判定では、全体の質感や打刻の深さ、文字の止め・はねの精度、地肌の色合いなどを総合的に確認していきます。
鋳造による複製品には、文字や珠点の輪郭が丸い、細部が埋まる、地肌に鋳肌や気泡状の凹凸が見られる場合があります。ただし、本物の摩耗や弱い打刻でも似た状態になるため、これだけで偽物とは断定できません。
文字部分も本物に比べて線がぼやけていたり、止めやはねが不自然になっていたりすることが少なくありません。
保管の際は、金属磨きや研磨剤、薬品、ワイヤーブラシなどを絶対に使用しないでください。
自然な風合いや経年による変化そのものが鑑定材料のひとつであり、磨いてしまうと本来の価値を大きく損なう恐れがあります。
湿気の少ない場所を選び、他の硬貨と重ねずに個別保管し、取り扱う必要がある場合は、清潔で乾いた手で側面だけを持つか、滑りにくい無粉末の手袋を使用してください。落下を防ぐため、柔らかい布やトレーの上で扱います。
遺品整理や蔵の整理で見つかった場合は、その状態のまま保管し、専門家に相談することが最も安全な方法です。
鑑定士の目🔍
持ち込まれる古銭の中には、良かれと思って磨かれてしまったものが少なくありません。自然な変色や表面の被膜は保存状態を判断する材料のひとつですが、それだけで年代や真贋を証明することはできません。除去すると地肌や鑑定情報を損なうため、磨かずに保管してください。
とくに遺品整理や実家の片付けで見つかった古銭は、長年蔵や引き出しの中で保管されていたケースがほとんどです。
そうした環境で変色、付着物、地肌の状態は、保管環境や加工の有無を検討する補助材料になります。ただし、変色だけから製造年代や真贋を断定することはできません。
「汚れているから見栄えを良くしてから相談しよう」と考える方もいらっしゃいますが、これは非常にもったいない対応です。
見つけたときの状態をできるだけそのまま保ち、専門家の目で確認してもらうことが、結果的に大切な古銭を守ることにつながります。
「これは竜2銭銅貨なのか、それとも1銭・5銭貨なのか」「1枚だけでも相談してよいのだろうか」——そう迷ったときこそ、自己判断で損をする前にプロへの相談をおすすめします。
古銭買取だるま3では、1枚だけの古銭についてもお電話でご相談いただけます。相談料や売却条件などは、最新の案内をご確認のうえお問い合わせください。
誤った判断で価値ある古銭を安く手放してしまう前に、まずはお気軽にお問い合わせください。






































