和同開珎(古和同)の鋳造技術|初期貨幣の特徴と見分け方をわかりやすく解説

実家の遺品整理や蔵の整理をしていると、「和同開珎(わどうかいちん)」と書かれた古い銭が見つかることがあります。

「日本最初の貨幣と聞いたことがある」
「古和同という種類らしいが、違いがよく分からない」
「鋳造技術で本物かどうか判断できるの?」

こうした疑問を持って調べ始める方は少なくありません。

和同開珎は、和銅元年(708年)に鋳造が始まったとされる、日本初期の代表的な鋳造貨幣です。

この記事では、古和同の歴史や鋳造技術を図鑑形式でわかりやすく紹介しながら、実際の鑑定で確認されるポイントまで丁寧に解説します。
また、見た目だけで真贋を判断することの危険性や、自宅での保管における注意点についても触れていきましょう。


和同開珎(古和同)とは何か

日本最初の本格的な流通貨幣が誕生した背景

和同開珎は、日本で最初の流通用の鋳造貨幣とされます。一方、和同開珎以前には富本銭の存在も確認されているため、「日本最古の銅銭」と断定せず、流通貨幣として説明するのが正確です。
和同開珎以前にも、富本銭や無文銀銭など初期貨幣に関わる資料が知られています。ただし、全国的な流通を目的とした貨幣としては和同開珎が重要な位置を占めます。

当時の政府は中国・唐の制度を参考に貨幣経済を整えようとしており、国家事業として大量鋳造を開始しました。
しかし当時の社会はまだ物々交換が中心。人々がすぐに貨幣を日常で使うようになったわけではなく、地域によって流通状況には大きなばらつきがあったとされています。

税制や物流の整備を進めるために貨幣統一が求められた、という時代背景が和同開珎誕生の根底にあります。
和同開珎のうち、銭文の形や鋳造状態などから古和同・新和同と分類されることがあります。ただし、両者の年代や位置づけには研究上の議論もあるため、単純に「初期=古和同」と断定しない方が安全です。

鑑定士の目🔍
古和同と呼ばれるものは、和同開珎の中でも古様な特徴を持つ分類として扱われます。ただし、現存品だけで鋳造順序を断定することは難しく、「第一号ロット」と表現するのは避けるべきです。鋳型の精度がまだ安定していない時期のため、文字の彫り込みに力強さと荒削り感が同居しています。この「整っていない個性」こそが古和同の証明であり、逆に文字や輪郭が不自然に均一なものは、後世の複製品や復刻品の可能性も含めて慎重に確認する必要があります。ただし、均一さだけで真贋や時期を判断することはできません。


古和同と新和同——何がどう違うのか

現在、和同開珎は銭文や鋳造状態の違いから古和同・新和同などに分類されます。ただし、単純に「古和同が初期、新和同が後期」と整理できない資料や議論もあります。

古和同には次のような特徴があります。

  • 文字に力強さと揺らぎがある
  • 全体の造形がやや不揃い
  • 鋳造時の個体差が大きい
  • 初期鋳造ならではの素朴な風合いが残る

一方、新和同は鋳型技術が安定してきたことで、全体的に整った印象になります。
ただし実際には中間的な特徴を持つ個体も多く存在するため、写真一枚だけで断定することはできません。

鑑定士の目🔍
「古和同か新和同か」の境界は非常に曖昧です。「同」の字の内側の空間の広さ、「珎」の最終画の払い方など、ほんのわずかな筆致の差が分類を左右します。素人目には同じに見えても、鑑定士は数十枚の実物と照合して判断しています。


奈良時代の鋳造技術——どうやって作られたのか

銅を溶かして鋳型に流し込む「鋳造法」の工程

古和同は「鋳造」という技法によって製作されました。
和同開珎は、溶かした銅を鋳型に流し込んで作る鋳造貨幣です。出土・所蔵資料には面笵・背笵などの鋳型資料があり、複数枚を連ねて鋳造した構造が考えられています。

冷却後は不要な部分(湯道と呼ばれる流路)を切り離し、一枚ずつ仕上げられました。
現代の機械加工とは異なり、一枚ごとに微妙な違いが生じるのが当然であり、それが古銭鑑定における重要な判断材料になっています。

鋳型には文字が反転した状態で彫り込まれます。
文字の太さ、角の丸み、線の流れ、四角い穴との位置関係——これらは鋳型職人の技術と感覚がそのまま反映されたものです。
同じ和同開珎でも同じ和同開珎でも、鋳型や鋳造条件の違いによって文字の出方、輪郭、鋳肌に差が生じます。

鑑定士の目🔍
鋳造後に仕上げ加工を施した痕跡も鑑定の重要ポイントです。和同開珎には、鋳造後の仕上げに由来すると考えられる加工痕が見られる場合があります。ただし、やすり目の有無だけで本物と判断することはできません。この不規則さこそ手仕事の証拠であり、均一すぎる加工痕は現代的な機械処理を疑う根拠になります。


画像で見るべき「鋳造の特徴」チェックリスト

図鑑として確認する際は、次の部分を拡大すると違いが見えやすくなります。

・「和」の横線の太さと揺らぎ
・「同」の内側の空間と縁の厚み
・「開」の門構えの左右バランス
・「珎」の文字形と払いの方向
・中央の四角い穴の形と角の丸み
・外周の縁(輪郭)の厚さと均一さ
・表面(鋳肌)の凹凸の自然さ

これらは鑑定士が最初に目を向けるポイントでもあります。
一か所だけを見て判断するのではなく、すべてを総合的に確認することが大切です。

鑑定士の目🔍
「穴の位置ずれ」は見落とされがちな重要ポイントです。本物の古和同には、中央の四角い穴がわずかに偏心していることがあります。これは人の手で仕上げた証拠です。中央の方孔の位置や形は確認すべき要素の一つです。ただし、位置が整っていることだけを理由に複製品と判断するのは危険です。


見た目だけでは判断できない——鑑定の実態

複数の要素を総合して初めて「本物かどうか」が分かる

初心者が最も注意したいのは、一か所だけを見て本物・偽物を決めてしまうことです。
鑑定では文字・鋳肌・外縁・穴の形・摩耗状態・全体のバランスを総合的に確認します。

一つでも違和感があれば、それだけで結論は出せません。
プロの鑑定士でも、複数の実物資料と照合しながら慎重に判断しています。

また、和同開珎は歴史教材や観光土産、研究目的の復刻品としても数多く製作されています。
「古そうに見える」だけでは判断の根拠になりません。
長年の経年変化に似せた着色や、人工的な摩耗を施したものも存在するからです。

鑑定士の目🔍
「錆の色と付き方」は真贋を見分ける重要な手がかりです。銅銭には青緑色の錆が見られることがありますが、錆の色・層・付き方は環境によって異なります。真贋判断では錆だけでなく、鋳肌や摩耗、文字形とあわせて確認します。一方、人工的な錆や着色が疑われる場合もありますが、確認のために自分でこすったり拭き取ったりするのは避けてください。状態を変えずに専門家へ相談することが重要です。この違いは実物を手にしないと判断しにくいため、写真での自己鑑定は非常に危険です。


保管方法で気を付けたいこと

古い銅銭は、長年の経年変化そのものが資料価値になります。
そのため、磨いたり洗剤・薬品を使ったりすることは厳禁です。

保管の際は以下を心がけてください。
・湿気の少ない場所に置く
・中性紙の袋やコインケースで個別保管する
・素手で触る回数をできるだけ減らす
・他の金属と触れないようにする

誤った手入れによって本来の状態が変化すると、鑑定そのものが難しくなることがあります。
「とりあえずきれいにしてから持っていこう」という判断が、価値を損なうことにつながるケースも少なくありません。


自分で判断して損をする前に、1枚からでもプロに相談すべき理由

遺品整理で出てきた1枚の古銭。
「どうせ偽物だろう」と思って処分してしまう前に、ぜひ立ち止まってください。

和同開珎は保存状態や鋳造バリエーションによって、和同開珎は、保存状態や希少バリエーション、真贋によって数円〜数十万円まで評価に大きな幅が出ることがあります。見た目だけで価値を判断するのは危険です。
同じように見える個体でも、わずかな鋳造の差が評価を大きく変えることがあります。

そして、真贋の判断は写真だけでは難しいのが現実です。
一見似た古銭でも、分類や保存状態によって評価が変わることがあります。自己判断で処分する前に、専門家の確認を受けると安心です。。

「だるま3」では、古銭に詳しい査定士が1点からでも無料でご相談を受け付けています。
匿名での電話相談も可能ですので、「本物かどうか分からない」「売るべきか手元に置くべきか迷っている」という段階でも、どうぞ遠慮なくご連絡ください。

専門家による確認を受けることで、歴史的特徴や保存状態を踏まえた、適切なアドバイスを受けることができます。

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